ゴルフによるスポーツ障害

ゴルフスイングは腕を使う動作と体感の回旋動作です。

1.体幹部の障害
 ゴルフのスイングは股関節が動かずに脊椎を軸とする回転運動であるため、この時にかかるストレスが大きかったり積み重なってくると脊椎や骨盤に障害をきたしその結果、症状として現れてきます。
 腰痛を訴える人は椎間板ヘルニアや脊椎分離症、恥骨結合炎などがあり、また、下肢の使いすぎ症候群を合併している場合が多くスイングの無理が下肢にまで及んでいると考えられます。
 頚部痛は、スイング時ボールから眼を離さずに頭を残して振り切るという動きのため、体幹と頭を逆の方向に回転させられることによりその境目の頚部に大きな力がかかることによって生じます。上級者になりスイングスピードが速くなるほど頚部の負担も増えるのでより正確な技術と首を支える筋力をつけておく必要があります。
 また、胸部の障害としてゴルフの際に多く見られるのが肋骨の疲労骨折です。これは体をまわそうとする力と捻転によって生じます。

2.上肢の障害
 左手関節痛、弾発指(指を曲げたり伸ばしたりすると音がする)、golfer’s thumb(親指の付け根の痛み)、golfer’elbow(肘の痛み)、などがあります。
いずれも連日の数多い打球練習、フォーム矯正練習などの無理と「ダフリ」の時に発症します。
 手関節は左側が圧倒的に多く、主に橈側々副靭帯損傷が多いです。
 母指(親指)の付け根の痛みは、靭帯損傷が考えられ、ボールの打ち損じ、手関節の使いすぎ、回旋運動のし過ぎで発症します。さらに弾発指もみられることがあります。
 肘関節の障害はgolfer’s elbow(ゴルフ肘・・・よく言うテニス肘と同じ)と呼ばれ、上腕骨内上顆炎で、ダフリのショットで筋が傷つくことが多いようです。

ゴルフスイングと障害の発生
バックスイング インパクト フォロースルー
障害頻発順位 3位(20.8%) 1位(49.7%) 2位(29.4%)
障害となる部位
(多発順)
1.腰
2.手首
3.肘、首、膝
1.手首
2.腰
3.肘
4.手
5.肩
1.腰
2.肩
3.肋骨
4.膝
5.手首

 ゴルフの打球動作によって生じた力は人体の一連のリンク機構によって体幹→手→クラブ→ゴルフボールへと伝えられ、運動器官が効率よく働いた場合、飛距離、正確度が増すのです。しかし、過度の打球動作の繰り返し、オーバーユースは特定の身体部位にストレスのきたし、障害の発生となります。また、一連のスイング動作中、インパクトによる障害発生比率が約半数をしめています。


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