ゴルフによるスポーツ障害
疾患と治療
熱中症
熱中症は、夏季高温多湿環境下での激しい長時間的な運動、長時間の連続的な歩行などによる発症が多く、夏ばかりではなく春秋にも発症します。
高温多湿下での労働やスポーツなどによって生じる暑熱障害を熱中症と総称し、その障害程度によって熱痙攣、熱疲労、熱射病の3つに分けられています。
体のしくみ・・☆体温の調節☆
体温は、視床下部にある体温調節中枢の働きによって熱生産と熱放射のバランスが保たれて一定に維持されています。
筋肉運動を開始すると、運動筋での熱生産が高まり、筋への血流が増加し、この熱の大半が増加した血流を介して皮膚からの発汗を促進することによって放散されます。
☆熱中症になってしまうまでの体の過程☆
暑い時期のゴルフ場(高温環境下)でのプレー |
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熱の生産と熱の放射 |
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汗を多量にかくことにより体温を調節 |
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のどが渇き、 水のみ(電解質なしの)を 多量に飲む |
脱水 | 熱の放散が追いつかない |
↓ | ↓ | ↓ |
血液中の電解質濃度低下 塩分平衡障害 |
循環不全(血液の流れが低下) | 高度の体温の上昇 |
↓ | ↓ | ↓ |
四肢や胸腹部の筋肉の痙攣 | 全身の倦怠感(だるい)・脱力感・ 冷汗・顔面蒼白・めまい・吐き気・ 脈が速く弱い・血圧低下 ときに失神 |
頭痛・めまい・吐き気・動悸などの 軽いものや、 ショック症状などの重篤なものまで。 40℃以上の体温上昇が続き、 中枢神経障害を起こし、意識障害。 過度の脱水、循環不全により、 多臓器不全。 |
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(熱痙攣) | (熱疲労) | (熱射病) |
☆熱中症にならないためには・・。☆
★まず大事なことは、ゴルフをする前の体調を考える事です。熱があったり下痢をしている場合、脱水により熱中症を起こしやすいので暑いと思われる日はラウンドや練習をあきらめましょう。二日酔いの日はもちろんです。熱中症になってみたい人は別ですが・・。
★アルコールを飲んでのプレーは熱中症を誘発しますのでやめましょう。
★ラウンド中、練習中に水分(スポーツ飲料水など)をとる事は勿論、ラウンド前にも500ccのペットボトル1本分ぐらいを飲んでおき、体に十分水分を補っておくことが必要です。
★また、暑い日に外に出ることに慣れていなかったり、トレーニング不足の人がその様な環境下で運動したりして熱中症になる場合が多いので、日頃から徐々に運動量を増やすトレーニングをしたり、高温環境下に慣れておく必要があります。
自分または回りの人がもし熱中症になってしまったら・・。
少しでも変だと思ったら、涼しい場所に移動して休みましょう。熱がある場合は、氷・アイスノン・凍った飲料水などで、首やわきの下の動脈の近くを冷やすと効果的です。痙攣には食塩水を飲ませると多くは回復します。
重篤な症状になる前に早めにゴルフ場スタッフと連絡をとり対処できるようにしましょう。
参考文献:臨床スポーツ医学1989Vol.6臨時増刊号
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